初めて知った支援学級の濃密な世界 先生たちが舞台に「理屈でなく」

 神奈川県茅ケ崎市寒川町の小学校の先生らでつくる演劇サークル「茅小演」が19、20日、同市民文化会館で4年ぶりに公演する。教えるばかりでなく、学び続けたいと願う先生たちの体当たりの舞台で、今回は小学校の特別支援学級がテーマだ。

 茅小演は1988年、演劇の手法を授業に採り入れようと有志の研究会として発足。やがて「子どもにやらせるだけでなく、自分たちもやってみて、失敗しながら成長しよう」と、長期休みなどを利用して稽古を重ね、数年に一度のペースで公演をしている。

 今回の演目は「なかよし~支援級の一年~」。メンバーの馬場健秀さん(61)が、2年前の異動で初めて担当した支援級での日々をオリジナルの脚本に書き下ろした。

 「同じ校舎にいながら、初めて知る世界があった。子どもたちとの関わりが濃密で、目を見開かされた毎日の一端を共有できれば」と話す。

 定年を迎えた教員コクブは、異動先で初めて支援級を担当し、話すのが苦手な小6のトオルと、ひたすらサッカーボールを蹴り合うことで心を通わせる。

 トオルは学校が大好きで、毎日「明日、学校?」と聞き、喜ぶ。子どもたちの純真さに心打たれるコクブだが、一方で、複雑な家庭環境や、ストレスを抱える現実も見えてくる。

 通常級の授業や給食に「交流」として参加する際、ほかの子どもたちの言葉に傷ついたり、遠慮したりする支援級の子たちの様子も描かれ、コクブがはっとさせられる。

 コクブは「通常級の担任だった頃は、交流に来る子たちがこんなに緊張して、こんなに勇気を振り絞って来ているなんて考えもしませんでした」と吐露する。

 コクブを演じるのは、茅ケ崎市立香川小学校で「通知表をやめた校長」として知られる国分一哉さん(61)。実は国分さんも今春の定年後に非常勤となり、初の支援級を担当している。「馬場さんは、この年になって新鮮に感じたことを純粋に見てもらい、支援級の日々を理屈でなく体験してほしいのだと思う」と話す。

 メンバーも議論を重ね、模索しながら臨む舞台だが、「教え子たちが見て楽しめるように」と笑いあふれる演出になっている。

 19日は午後2時と6時、20日は午前10時と午後2時からの各日2回公演。入場無料。問い合わせは府川さん(080・3176・7308)。(足立朋子)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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