南極で出会う「いにしえの火星」 水の惑星に姿重ねて

 南極の短い夏、観測隊員は童話「アリとキリギリス」のアリのように働く。「厳しい冬が来る前に」と沈まぬ太陽の下、作業にいそしむ。2020年1月、そんな姿を取材し、建設作業も手伝い、基地を離れて野外観測の現場も巡った。

 昭和基地から遠く離れた各地に地震や地磁気、気象などの無人観測機がある。しらせ搭載のヘリコプターがある夏でなければ行けない所も多い。年に1度は観測データの回収、電源や機器のチェックに隊員が赴く。

 同月19日、ヘリコプターで基地から北東へ約90キロ、氷海を越え、大陸沿岸の「明るい岬」に降り立った。まずは小さなアンテナを設置し、人工衛星を使って正確に測地。大陸のわずかな動きの変化をとらえる。次にチェックするのはインフラサウンドの観測機器だ。「人に聞こえない超低周波音をとらえるもので『大気の地震計』みたいなもの」と、野口里奈さんが教えてくれた。はるか遠くの津波や噴火、巨大な氷が割れる時などに大気が震動し、伝わって来るのをとらえるそうだ。

 野口さんは、宇宙航空研究開…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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