原発工事などの代金、役員らに還流 関電第三者委が認定

 関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(昨年3月死去)から金品を受け取っていた問題で、第三者委員会(委員長・但木(ただき)敬一元検事総長)は14日、調査結果を公表した。受領者は75人で総額3億6千万円相当にのぼる。関電が森山氏の関係企業に工事を事前に約束し、実際に発注していた。森山氏は見返りを目的に金品を配っており、第三者委は原発工事などの代金が役員らに還流していたと認定した。

 第三者委は、但木氏のほか、奈良道博・元第一東京弁護士会長、貝阿弥(かいあみ)誠・元東京地裁所長が委員、久保井一匡・元日弁連会長が特別顧問を務めた。

 調査報告書によると、受領者は関電、子会社の関電プラント、関電不動産開発の役員ら。2011年の東京電力福島第一原発の事故以降、金品の額も受領者の数もふくらんだ。役員ら23人が総額3億2千万円相当を受け取っていたとした関電の社内調査に比べ、関係者が大幅に増えた。

 森山氏の関連企業は土木建築会社「吉田開発」(高浜町)、メンテナンス会社「柳田産業」(兵庫県)、警備会社「オーイング」(高浜町)、建設会社「塩浜工業」(福井県)の4社で、報酬や手数料、謝礼を得ていた。1987年に助役を退いた直後から30年余り、関電に工事発注を求め、役員らに金品を提供してきた。

 第三者委はそのうえで「森山氏が社会的儀礼の範囲を超える多額の金品を提供し、その見返りとして関電に自らの要求に応じて関係する企業への工事の発注を行わせた」と指摘。「それらの企業から経済的利益を得る、という仕組みを維持することが主たる目的であったとみるのが自然かつ合理的だ」と結論づけ、「原発マネー」の還流を認定した。

 森山氏と関係を維持していた点は「事実上の業務命令となっていた」。多くの役員らが「金品受領が露見すると社会的批判にさらされる」「原発の運営、再稼働に支障が生じる」などの理由から断てなかったとした。岩根茂樹前社長らが取締役会に報告せず、問題を非公表としたことに対して、企業統治が機能しなかったと批判。こうした「内向きの企業体質」を正すため、第三者委は会長を社外から招くように提言した。

 第三者委の調査は昨年10月から続いた。現役や退職者から聞き取り、過去のメールを復元するデジタルフォレンジックも活用した。(室矢英樹、西尾邦明)

■第三者委員会の最終報告書…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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