台風19号 「もうダメかと思った」流された住民が語る恐怖 福島(産経新聞)

 台風19号による被害の全容が判然としない中、相次いで住民の遺体が見つかった福島県本宮市。阿武隈川とその支流の安達太良(あだたら)川が氾濫し、短時間で一気に被害が拡大したとみられているが、街で何が起きていたのか。

 「胸ぐらいの高さまで水が来た。押し戻されるような強さで流された」。創業80年を超える菓子店「菓匠 きねや」の窪田幸雄社長(55)は、あの時の恐怖を振り返る。

 阿武隈川は13日未明、水が堤防を越えてあふれ出した。さらに、支流の安達太良川でも堤防が決壊し、大量の水が勢いよく街に流れた。

 当時、窪田さんは浸水に備え、川のそばの倉庫で片付けをしていた。浸水が始まり、「まずい」と思って倉庫を飛び出し、川から離れようとした。水かさはあっという間に上昇し、偶然出くわした近隣の男性と2人で手をつないで流されないように避難を急いだ。だが、さらに流れが強くなり、足を取られた。

 2人で数メートル流されたところで、自力で立ち上がり、近くにあった手すりにつかまって助かったという。「怖かった。正直、もうダメかと思った」

 本宮では、昭和61年8月の「8・5水害」でも大部分が浸水し、平成10年8月にも阿武隈川で洪水が発生した。国は堤防の改修といった対策に着手し、今もかさ上げ工事を続けている。

 窪田さんは「8・5水害の時は、水は膝くらいまでだった。今回ははるかに上回る」と語る。

 濁流が襲った店や工場は窓ガラスが割れ、今月1日の消費税増税で導入した軽減税率対応のレジも使えなくなった。

 「再開はいつになるか分からない」。窪田さんは肩を落とした。

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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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