営業が作り上げた「保険大国」 転機の今、問われる姿勢

 「果たして今の第一生命は世間から、お客様第一主義を体現する『一生涯のパートナー』と見られているか」。詐取事件後の11月下旬、稲垣精二・第一生命社長は支社長会議で問いかけた。「無意識に作り上げた文化が時代に合わなくなっていないか」

 生保の営業は、死や病など生涯に起こりうる万一の備えを顧客に想起させ、「生活の不安」や「家族への贈り物」を強調して勧誘する。「ニーズ(需要)喚起」と呼ばれる方法だ。営業職員は業界全体で約23万人いて、離職率は初年度で約15%(大手4社)と高い。大量採用・離職が繰り返される競争社会で、元女性社員(89)は半世紀以上売り続けた「レジェンド」といえる。

 かつて生保レディーと呼ばれた仕事は、戦争で夫を亡くした女性の職を確保するための国策でもあった。「夫は仕事、妻は家庭」が普通の高度経済成長期、万一への備えを訴えて保険を売り歩き、日本は生保加入率8割を超える「保険大国」になった。

【連載】生保の女帝
第一生命保険の元女性営業社員(89)が、顧客のお金19億円をだまし取る問題が起きた。なぜ、どうやって多額のお金を集めたのか。社内で「女帝」と評されるほど力を持った元社員の事件の実態と背景を探った。

 旧大蔵省の護送船団方式のもと…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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