国立大、一般入試でリベンジ「悲観的にならず前向きに」

 年が明け、いよいよ受験シーズンを迎えました。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからの、受験生へのメッセージを随時お届けします。

 名古屋工業大学の前田倖令(ゆきのり)さん(19)は、土木工学などを学ぶ社会工学科・環境都市分野の1年生。愛知県小牧市出身で、中学生の頃から橋やビルなどに興味があった。高校1年生で名工大のオープンキャンパスに参加して「工学系に特化した大学の方が、同じ興味関心を持つ人が多くて楽しそう」と感じた。

 母子家庭で妹と弟もいるため、志望校は国公立大に絞った。環境都市分野の推薦入試は募集定員3人の狭き門だったが「少しでも合格の可能性があるなら選択肢を増やそう」と挑戦。面接の感触は悪くなかったが、物理の試験で時間配分をミスした。結果は不合格だったが「一般入試で合格すればいい」と、すぐ気持ちを切り替えた。

 家計の事情から塾には行かず、気の合う友人と一緒に勉強することが多かった。「1人で黙々とやるよりも、分からないところを聞き合いながら勉強するのが自分には向いていた」と振り返る。2次試験では緊張したが、物理、数学、英語ともミスなく終えられた。「推薦入試での失敗があったからこそ、落ち着いて取り組めたと思う」

 コロナ禍で合格発表の学内掲示はなく、大学のウェブサイトで確認した。携帯電話の画面で自分の番号を見つけた時は「名工大だけ目指してやってきたから、さすがにうれしかった」。現在は専門を深めるための基礎科目を中心に学ぶ。前期はオンライン授業が続いたが「同じ物理学でも、高校の時とは違う考え方も多くて面白かった」と話す。後期は一部で対面授業も始まり、新しい友人もできた。コロナの感染が落ち着いていた頃には、他大学の友人も交えて趣味の自転車旅行を楽しんだ。

 光熱・水道費を稼ぐため、ホームセンターでのアルバイトを続けている。建造物の耐震化に興味があり、将来は土木系の公務員か、大学院に進んでさらに専門を深めていくかで思案中だ。2年生になったら、中学時代に打ち込んだ吹奏楽サークルに入ってみたい気持ちもある。

 受験でも入学後の学生生活でも、思い通りにならないことはどうしても出てくる。「どんな状況でも悲観的にならず、今できるのは何かと前向きに考えてほしい。自分はこれだけのことをやったと自信を持てれば、きっといい結果につながるはず」(佐藤剛志)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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