園庭も人手もない、遊ばせられない 待機児童減少だけど 嘆く保育士

 来年4月の入園に向けた保育園の申し込みが各地で始まった。東京都内では今春、待機児童数は300人で過去最少になった。だが、受け皿の整備が進んだ一方で園庭のない施設が増えるなど、保育の環境に課題は残る。23区内で保育士を35年以上続けている女性(59)が思いを語った。

混み合う公園、「園庭あれば」

 女性は区立園や私立認可園に勤めてきた。いま勤める区では、区立園には園庭があるが、私立園には園庭がほとんどない。園庭がない場合、外遊びで近くの公園に行くが、一つの公園が複数の園で混み合う。

 東京都の待機児童は2009年以降7千~8千人で推移し、14年には8672人いた。18年から減少が続き、21年には969人と記録が残る中で初めて1千人を下回った。保育園の整備が進んだことなどが要因とされる。一方で、保護者らでつくる「保育園を考える親の会」によると、保育園が急増した地域では園庭のない施設が多くなった。首都圏の主な100市区を対象にした調査では、18年度の園庭保有率の平均は73・1%、22年度は69・8%と減っている。

 ある公園に行った時のこと。遊具を他園の園児が使っていたため、端にある植え込みの前で遊ばせた。園児は遊具に行きたがったが、引き留めるしかなかった。他園児と密集すれば園児の把握がしにくくなり、けがのリスクも高まる。

 公園では制約が増える。「園庭があれば」と思う。やりたい遊びを選ぶ機会を子どもたちから奪ってしまい、心が痛む。興味を持った遊びに挑戦することで達成感や満足感が得られ、意欲を伸ばし、成長につながるからだ。

 園舎についても、国の基準より広いかどうかは園によって異なる。様々なおもちゃを置く広さが十分にない園もあった。

保育士はギリギリ トイレも「ちょっと待って」

 職員数の問題もある…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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