土地利用規制法の対象、新たに161カ所候補地に 沖縄では懸念の声

 政府は12日、防衛施設など安全保障上重要な施設の周辺や国境の離島を対象とする土地利用規制法を巡り、規制対象の候補地として新たに161カ所を土地等利用状況審議会に示した。防衛施設が集中し、規制対象が広範になりかねないと懸念が根強い沖縄県では39カ所が初めて選定。米軍基地は含まれなかった。

 昨年9月に施行された同法は、自衛隊や米軍の基地、原子力発電所といった重要施設の周辺約1キロや、国境の離島を「注視区域」に指定。指定されれば政府は土地の利用状況を調べ、施設の機能を損ねる行為に罰則つきの命令などができる。さらに「特別注視区域」に指定されると、売買の際などに事前届け出が義務づけられる。

 政府は今年2月に北海道や東京、長崎などの58カ所を指定した。今回は第2弾の位置づけで、宮城、東京、新潟、石川、鳥取、島根、高知、長崎、鹿児島、沖縄の10都県から選ばれた。

 12日に審議会に提示されたのは、特別注視区域として沖縄県の石垣、宮古島、与那国の自衛隊駐屯地など40カ所と、注視区域として佐渡島新潟県)や種子島鹿児島県)など121カ所。新潟空港(新潟県)や川内原発(鹿児島県)は、民間施設で初の候補地となった。

 政府は候補地がある自治体に規制区域の図案を送り、意見聴取をする。24年ごろまでに全国で計約600カ所を指定する方針という。(後藤遼太)

沖縄県知事「県民生活への影響懸念」

 沖縄県では、石垣、宮古、与那国各島の自衛隊施設など、県内の施設が初めて候補地になり、慎重な対応を求める声が上がった。

 玉城デニー知事は12日の記者会見で「県民生活に影響が生じる懸念は拭えない」とし、「区域の指定は真に必要最小限にとどめる必要がある」と述べた。県は昨年9月、政府に意見書を提出し、「沖縄県は多くの米軍基地や自衛隊基地、国境離島を抱えており、かなりの区域が指定されることが想定される」として、関係自治体との丁寧な調整を求めていた。

 土地利用規制法に詳しい仲松正人弁護士は、長射程を含む自衛隊のミサイル部隊配備などに住民から疑問の声も出ているなか、「反対運動が制約されないか。住民の萎縮を招きかねない」と指摘した。(小野太郎、棚橋咲月)

政府が提示した規制対象候補

◇特別注視区域

東京都】…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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