増える民具の「死蔵」 地域の歴史伝える道具に込める、新たな世界観

 整然と並ぶ真っ赤なお膳や漆器。夏から秋にかけ、能登半島で行われるキリコ祭りの夜、ごちそうで客人をもてなす風習「ヨバレ」で使われた民具には、ハレの日の記憶が宿る。

 石川県珠洲市にある「スズ・シアター・ミュージアム(STM)」。2021年にあった「奥能登国際芸術祭2020+」に向けて整備された施設で、郷土の歴史を伝えようと、地元で収集した民具およそ600点のほか、民具を素材にしたアーティストの作品を展示している。

 一方で、資料館や博物館の多くが収蔵する民具の保存に苦慮している。過疎や高齢化で家じまいや空き家の処分が進み、住民らから引き取る農耕具や食器、家具などが増えているが、保管場所や予算に限界があるためだ。日本博物館協会による2019年度の調査では、回答した2314の博物館のうち2割以上が、収蔵庫に入りきらない資料があると答えた。

 STMの民族資料保存・活用…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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