夏本番を迎える前に知っておきたい、よい寝汗と悪い寝汗(ウェザーニュース)

本格的な夏に向かうにつれて暑さもますます厳しくなり、就寝時は寝汗が不快になってきます。この寝汗には睡眠の質に影響する重要な役割があるといいます。
汗と臭いの専門家である五味クリニック院長の五味常明先生に教えていただきました。

眠るためには汗がかかせない!?

自覚のあるなしに関わらず、人は眠る間に必ず汗をかきます。 「汗の第一の役割は、蒸発して体温を下げることです。睡眠は人にとってプチ冬眠といえるもので、寝入りばなに生理的に発汗することで、体の内部の温度、特に脳の温度を下げ、眠りにつくのです。これはサラッとした“よい寝汗”で、朝まで残りません。しかし、朝起きたときにベタっとするのは、“悪い寝汗”です」と、五味先生は説きます。

悪い寝汗をかかないお風呂のコツ

悪い寝汗をかく人に多いのが、就寝直前にお風呂に入ること。 「脳の温度が高いままだと寝付きが悪くなったり、寝付いても体温を下げようと体がたくさん汗をかきます。すると、朝の汗がベタっとして臭いのです。お風呂上がりに、すぐエアコンで冷えた部屋に入るのも、皮膚体温が急激に下がって発汗が止まり、熱が体にこもる原因です。 お風呂は1時間くらい前に入り、上がったら軽く汗をかきながら団扇であおぐなどして蒸発させ、ゆっくり体温が下がるようにすると、すっと眠ることができます。 エアコンで室温を下げてもけっこうです。頭寒足熱といいますが、頭は涼しく手足や内臓は温かめがいいのです。エアコンは冷え過ぎるという人は、タイマーを利用したり、扇風機を上に向けてもいいでしょう」(五味先生)

ふかふかの敷き布団、ストレスもよくない!?

敷き布団の硬さなど、気づきにくい要因もあります。 「舞妓さんが帯できゅっと胸を締めると、上半身の汗が止まり下半身にかくように、『半側発汗(はんそくはっかん)』という仕組みがあります。硬めの敷き布団で仰向けになると、背中側が圧迫されて汗が減り、胸側で増えます。これに軽いかけ布団なら汗が蒸発しやすいのですが、ふかふかの敷き布団ではうまく背中側が圧迫されず、背中に汗をかきます。体の下では汗が蒸発できないため、体温も下がりません。 精神的ストレスが強く、よく夢を見る人も悪い寝汗をかくことが多いです。夢は、浅い睡眠の『レム睡眠』のときに見るものですが、脳が興奮して精神的発汗でドッと汗をかくため、朝にベタっとなるのです。 また、結核や呼吸器疾患などの慢性疾患があるときも悪い寝汗をかきます。これは『盗汗(とうかん)』といって、寝ている間じゅう漏れるようにかく汗で、濃くて臭う汗になります」(五味先生)

寝る前に欠かせない水分補給

寝汗を嫌って、寝る前の水分を控えることはないでしょうか。 「水を飲まなくても暑ければ汗をかくので危険です。特に、高齢者は夜間熱中症や脳梗塞などのおそれが高くなります。 夜間のトイレが心配だという人もいますが、就寝前に一度に水を飲んではいませんか。体液が急に薄くなると抗利尿ホルモンの分泌が止まり、排尿が促されます。就寝の1時間ほど前から喉を潤す程度にちびちび飲めば、トイレに起きずに済みます」(五味先生) 疲れやすい夏は、工夫して心地よく眠りたいものですね。

ウェザーニュース

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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