大阪の聖火ランナー「さすがに仕方ない」 代替案に望み

 開催直前になって、大阪府内全域の公道で東京五輪聖火リレーが中止になった。新型コロナウイルス感染の急拡大が理由で、都道府県単位での中止は初となる。参加予定だったランナーたちは落胆し、万博記念公園(大阪府吹田市)での代替策に望みをつなぐ。

 「残念でしようがない。マスクを着けてでも走りたいけど、みんなの健康と安全のために受け入れるしかない」。大阪府岸和田市内を走る予定だった同市在住の五嶋(ごとう)忠志さん(85)は声を落とした。

 世界マスターズ陸上を走る市民ランナーだ。「練習で走らせてもらっているお礼」として、12年前からは同市中央公園で1日4時間、「筋トレも兼ねて」ゴミ拾いをしている。

 「私が元気に走る姿を見てもらって、同年齢の人に『自分も頑張ろう』と思って欲しい」と、練習を続けてきた。今月1日に大阪市内での聖火リレー中止を聞いた時は「準備してきた人はショックだろう。屋外で密にならないように走ってもダメなのか」と思った。だが、1週間で府内の感染者数は急増した。「さすがに仕方ない」と今は思う。

 万博記念公園(大阪府吹田市)での代替策が検討されている。「厳しい状況なのはわかっているけど、万博公園を走れたらありがたい。リレーが中止になったら五輪も中止になるのでは、と心配になる」

 大阪市淀川区の山本潤二さん(62)は3年半前に脳梗塞(こうそく)を患い、聖火リレーを目標にリハビリに取り組んできた。

 大阪市内のリレー中止は決まっていたが、7日には府内全域の中止と共に万博記念公園での代替案が明らかにされた。「トーチを持ってスタートラインに立てる機会を与えていただけるだけでも感謝の気持ちでいっぱい」と語る。

 病に倒れてから、医師や理学療法士ら多くの医療関係者らに支えられた。「僕1人でここまでこられたわけではない。聖火に込めた感謝の気持ちをどうしてもつなぎたかった」。中止はやむを得ないと思いつつ、「復興五輪を掲げ、励みにしてきた人も多いと思う。どんな形でも五輪にかけるそれぞれの思いをつなぐことに意味がある」と話す。

 大阪市東住吉区の会社員、島津…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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