天才ソリストから振付家に ダンサーを萎縮させない極意

 かつて英国ロイヤル・バレエ・スクールを首席で卒業し、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(BRB)ファーストソリストとして活躍した山本康介さん。退団し帰国した今、日本のバレエ振興のために精力的に活動しています。NHKで放映される「ローザンヌ国際バレエコンクール」の解説で知っている人も、多いのではないでしょうか。振付家、演出家、そして指導者……。様々な肩書を持つ山本さんに、現役時代を振り返ってもらいました。

拡大するチャーミングな笑顔が魅力。舞台の上でも表情豊かなマイムが得意だった=東京都中央区、いずれも村上健撮影

 愛媛のバレエ少年が天賦の才を認められ、英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学したのは15歳のとき。飛び級で進んだ学校を首席で卒業、そのまま権威あるバーミンガム・ロイヤル・バレエ団に入団した。

身体能力に恵まれ、言葉の習得も早かった

 「すごく回れるとか、何かが秀でていたわけではない。音楽性やステップなど、総合力を評価してもらえただけ」と謙遜するが、身体能力に恵まれていたのは明らかだ。早朝からストレッチしないと体がほぐれない同僚を横目に「大変だね、なんて思いながらコーヒーを飲んでいた。当時嫌な思いをさせた人たちに、謝って回りたいくらい」。「イギリスはとても自分に合っていた。言葉の習得も早かったし、失敗もすぐ忘れる」。壁にぶち当たるようなことはほとんどなかった。入団からわずか5年、2005年に上位のファーストソリストに昇格した。

 転機は20代半ばに訪れた。自…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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