夫婦別姓 なぜ世の中の「最優先課題」になれないのか

 5年に一度見直す男女共同参画基本計画の中の選択的夫婦別姓の書きぶりをめぐり、昨年、自民党内の議論が注目されました。旧姓を使い続けることを届け出る案など「一歩前進」とも映る案を提示する議員もいました。選択的夫婦別姓を求める人の中からは歓迎する声もありますが、戸籍制度に詳しい井戸まさえさんは「根本的なことを議論するべきだ」と主張しています。目先の不利益を緩和するものであっても否定すべきなのか――。話を聞きました。

拡大する いど・まさえ 1965年生まれ。兵庫県議を経て、民主党衆院議員を1期務める。現在は立憲民主党所属。離婚後265日で出産し、離婚後300日以内に生まれた子どもの父を前夫と定める民法の嫡出(ちゃくしゅつ)推定規定による出生届の提出を拒否し、一時子どもが無戸籍に。裁判で勝訴し、現夫の子と認められる。「無戸籍の日本人」など著書多数。

自民党内の議論 「出来レースを見ているよう」

 ――政府計画の中で夫婦別姓をどのように表現するか、保守派が猛反発した自民党内での議論が注目されました。

 「出来レースを見ているような感覚でした。党内での立ち位置や陣取り合戦の方便に、『夫婦別姓』が使われているのではないか、と。高市早苗衆院議員と稲田朋美衆院議員は私案を提唱しましたが、旧姓の通称利用を拡充したり、旧姓に法的根拠を持たせたりするもので、『夫婦の氏を一つにする』という民法の規定を変えようとはしていません。高市さんは夫婦別姓反対派の旗振り役、稲田さんは『女性活躍がんばってます』というそれぞれの立ち位置から発信していましたが、主張している中身は代わり映えしませんでした。アピールの対象が保守派なのか女性なのかという違いにとどまり、どちらも目指しているのは真の平等ではないということです」

 ――旧姓になんの法的根拠もない現状に比べれば、不利益が一部緩和されるという点で歓迎する声もあります。

 「お茶を濁されてはいけない。離婚後も結婚していた時の氏を使い続ける『婚氏続称制度』ができたのが1976年です。当時は、姓を戻すことで離婚というプライバシーを開示しなければいけないことが大きな問題でした。制度ができてその問題はクリアしましたが、これは実は『ひとりの人が二つの氏を持つ』という禁じ手です。この制度は、戸籍には結婚していた時の氏が記載されるものの、『民法の上の氏』は旧姓に戻るという仕組みなのです。戸籍法は民法の手続き法なのに、この二つの法律が矛盾している状況です。今回、稲田さんがこの制度を応用した『婚前氏続称制度』を提案しましたが、禁じ手をさらに広げ、混乱を招くでしょう。なぜそんな面倒なことをしなければいけないのでしょうか。表面的な解決で終わってしまうことは、夫婦別姓が選べない状況を維持することにつながりかねません」

「日本は今も『前近代』」

 ――ここまで長く解決しないと、目先のことだけでも解決してくれたらありがたいという気持ちになってしまうのも分かります。

 「根本的な問題に気付かせない…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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