奄美の誤解「手つかずの自然広がる」 これ以上失うまい

 「手つかずの大自然が広がる」。よく耳にするうたい文句は誤解だと感じている。6年に及ぶ島暮らしを経て、奄美の自然に対するイメージは変わった。ほとんどの森に伐採された過去があり、海岸にも開発の手が入っているからだ。

 奄美の自然を否定したいのではない。この島の素晴らしさは、人の営みのすぐそばに、多様な生き物がいることだ。

 絶滅危惧種の花が裏山で咲き、生活道路にアマミノクロウサギが現れる。国の天然記念物のルリカケスやアカヒゲは、民家の軒下にも巣をつくる。奄美最高峰の湯湾岳は694メートル。駐車場から木道を登れば、頂上まで1時間とかからない。国内最大級のマングローブ林は国道から見下ろし、全景を撮影できる。

 「屋久島縄文杉のような目玉がない」。島でそんな声を何度も聞いたが、それも勘違いだ。足元の自然のすごさを教えてくれる翻訳家(ガイド)さえいれば、山歩きの経験がなくても、世界遺産級の生き物を体感できる。貴重な自然との距離の近さこそが、奄美の特徴、売りだと思う。

 ただ、身近さは、危うさを伴う。

 島内の山という山はかつて…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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