奈良のシカが町中に出没している? 鹿せんべいをもらえなくなったから? この春、そんなうわさがSNSで飛び交った。新型コロナウイルスの影響で観光客が激減したことによる異変なのか。シカの保護活動に取り組む「奈良の鹿愛護会」に聞くと、秋から続くという発情期に毎年起きるらしい。
「えさを求めて市街地に出没しているのでは?」
今春、シカたちが奈良公園を離れて、街角に現れた。目撃情報は奈良市内の各地で広がった。近鉄奈良駅そばの商店街のほか、JR奈良駅付近まで足をのばし、街路樹や公園の草を食べるシカたちも。
愛護会は「毎年発情期に起きる現象」と説明する。発情期が冬から春先にも続くとみられ、すみかを離れて出歩くことがあるという。なぜこの時期に行動範囲が広がるかはよくわからず、「シカに聞くしかない」そうだ。
「おなかをすかせて凶暴化しているのでは?」
観光客が買った鹿せんべいにとびついたり、手に持つ紙袋やポリ袋にかみついたりするのは珍しくない。食料は公園に十分あるため、「飢えたり、凶暴化したりしていることはない」という。
愛護会によると、シカの主食は草木や木の実。鹿せんべいはあくまで「おやつ」。「観光客が減ったことで、いろいろなうわさが出ているが、特に関係はないと考えている」
愛護会は、通報を受けて、市街地を出歩くシカのもとに駆けつけることもある。職員が群れの左右を挟むように並走し、後ろから車で追いかけて奈良公園に誘導している。シカが原因で事故の恐れがある場合は、愛護会(0742・22・2388)へ。(平田瑛美)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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