女性登用なくして立ちゆかず 中小企業が「右腕人事」から脱するには

 女性登用を促す女性活躍推進法は今のところ、従業員100人以下の中小企業は対象外。ところが女性管理職の比率は、データ上は企業規模が小さいほど高くなっています。「女性活躍推進」の実感は、企業規模が小さいほど少なくなるという調査もあります。一見相反する状況を、どう考えればいいのか。ものづくり企業が集積する大阪府東大阪市にある、近畿大学の松原光代・経営学部キャリア・マネジメント学科准教授に聞きました。

 ――女性社長は、数としては大企業より中小企業の方が多い。まず、これをどう考えればいいのでしょう。

 ファミリービジネスが多く、娘に継がせるケースも多いためです。息子がいれば息子を優先するのですが、いない場合は娘を経営者として育成し、「帝王学」を学ばせる。そうした育成を経ていなくても、「家族の一員だから」と就任するケースもある。トップや役員の女性比率が中小企業ほど高くなるのはそのためです。

 ――管理職も同様に、企業規模が小さいほど女性比率が高いデータが出ています。帝国データバンクによると、女性管理職比率は2022年、中小企業が平均9.9%、うち小規模企業は同12.5%と、大企業の同6.8%より高いです。

 女性が多い業種が小規模企業に多いため、管理職の女性比率も押し上げているというからくりがあるのだと思います。小売店や、美容院や医療福祉といったサービス業は、働き手に占める女性の割合が多い。看護師や介護福祉士ケアマネジャー、塾講師といった職も同様です。その中から管理職に上がっていく結果、中小企業の女性管理職の比率が高くなっているわけです。

 ――一方、建設業や製造業は女性の管理職比率が少ないですよね。

 こうした業種で働く女性の数自体が少ないので、管理職や役員に女性が就くのもまれとなっています。

舞いあがれ!」でも気になるキャリアアップ

 ――町工場をめぐって感じるのは、女性が少ないなあ、ということ。なぜこうなっているのでしょう?

 中小の製造業の現場は仕事の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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