好きな寺から寺へ 「バーチャルお遍路さん」お目見え

 四国八十八カ所霊場の歩き遍路を疑似体験できる「バーチャルお遍路さん」が11日、高松市で開催されたイベントでお披露目された。箱形の端末をテレビやモニターに接続し、センサーを身に着けると、体の動きに合わせて画面上の遍路道や境内の映像が動く。

 映像は、四国4県で実際に撮影された遍路道や札所の全行程約1400キロ分。好きな寺からスタートでき、歩いたデータを保存して、いつでも続きから再開できる。全行程を踏破するには1日40分歩いたとしても約1年半かかる計算だが、一つの札所から次の札所までを3分にまとめた短縮バージョンも選べる。

 製作したのは、香川県三豊市の映像制作会社「エイデン」。亀山茂雄社長(67)が、母親にいつまでも元気で運動を続けてほしいとの思いから、地元になじみのある四国遍路を使おうと考えた。

 スタッフは亀山社長を含めて4人。遍路道には険しい山中もある。撮影機材は重さが12~13キロあり、1人で歩きながら撮るには厳しく、2人ずつが交代しながら撮影にあたった。さらに、紅葉や季節の花などの見頃にこだわったため、1400キロを撮り終えるのに3年余りを要したという。

 11日のイベントは、札所などでつくる四国八十八ケ所霊場会が主催。ジムなどにあるルームランナーとともに披露された。当初は画像の動きは歩く場合を想定して開発したが、走る場合にも対応できるように改良を重ねた。

 会場でマシンを試した広島県尾道市の会社員松山智加子さん(67)は、八十八カ所を4回巡った「先達(せんだつ)」と呼ばれる1人。「懐かしい風景が見られた。体力や時間の制約から遍路に出かけられない人も、体験できるのは素晴らしい」と話していた。

 端末とセンサーのセットで税別35万円。問い合わせはエイデン(0875・72・3962)へ。(江湖良二)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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