子ども目線で新たな気づき 「対話」で振り返る模擬授業


 「模擬授業」というと、こんな光景をイメージするかもしれない。黒板の前に立つ教員志望の学生か若手教師が、教室の後ろに立つ大学教授やベテラン教員の視線を意識しながら授業を進める。終了後に待つのは「指導」「助言」の時間――。

 東京学芸大学教職大学院(東京都小金井市)の渡辺貴裕准教授(43)が中心となって実施する「対話型模擬授業検討会」では、それとはちょっと違った光景が繰り広げられる。

リンカーンの民主政治、本当に実現?

 昨年10月。大学院生3人がそれぞれ別の教室に分かれ、模擬授業で教師役を務めていた。その1人、北見太勢さん(23)の授業は中学2年生対象の社会科だった。テーマは「誰が『アメリカ人』か? リンカンの言葉から考えよう」。

 北見さんは生徒役の大学院生7人に19世紀の米国の南北戦争について説明。奴隷解放宣言を出したリンカーン大統領の「人民の人民による人民のための政治」という言葉を紹介した。さらに、リンカーンの功績だけでなく、在任中も黒人や先住民が迫害されていたことなども列挙し、問いかけた。

 「リンカーンは、人民のための平等な政治を実現したと言えるのでしょうか?」

 生徒役は議論をした上で、そうした政治の実現が「a.できている」「b.少しはできている」「c.あまりできていない」「d.できていない」の4択から一つを選び、理由を紙に書き込んでいった。授業はここで終了。全部で20分間程度だ。

 ここから始まるのが「対話型模擬授業検討会」だ。北見さんは教壇側から移動し、生徒役を務めた学生たちと並んで椅子に座って、一緒にホワイトボードに向き合う。

 女子学生が口を開く。「リンカーンの言う『人民』って結局何を指すのかなって思った」。男子学生も言う。「モヤモヤした感じはあった」

 北見さんは「モヤモヤして終わ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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