学長の解任求める署名、内外から続々 旭川医大問題

 旭川医科大学(北海道旭川市)で、吉田晃敏学長の新型コロナウイルスに関する不適切発言や、学長と医大病院長との対立などの問題が続いたことを受け、学長解任を求める署名活動が学内外で続いている。同大の理事会に解任された古川博之・前院長の復職を求める活動も始まり、問題の波紋が広がっている。

 吉田学長を巡る問題は昨年末以降、報道で次々に表面化。これを受けて今年1月中旬、旭川医大の元助教授、水元俊裕さん(81)ら「吉田晃敏旭川医科大学学長のリコールを求める全国有志の会」が、大学に学長解任を求める活動を開始し、今月15日時点で6760人の署名が寄せられた。会のホームページ(https://president.yoshida-recall.com/)で請願書をダウンロードして送る形式で、送料は署名した人が負担する。関西や九州を含む全国から署名が届くという。署名サイト「Change.org」に集まった署名も2700人を超えた。

 署名とともに数百通の激励の手紙も届いているという。解任された古川前院長に対する吉田学長の言動について、「完全なパワハラだと強く感じました」「決して許してはいけない発言と行動です」などとメッセージが書かれている。水元さんは「旭川医大で異常なことが起きていると多くの人が憤りを感じている現れ」と話す。

 今月9日には学内からも解任や辞任を求める動きが出た。旭川医大の現職教授や名誉教授ら22人が「旭川医科大学の正常化を求める会」を立ち上げた。発起人は現在24人に増えた。

 同会は、①新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生した吉田病院に対する不適切発言②旭川医大病院の古川前院長に対するパワーハラスメントが疑われる言動と不当な解任処分③滝川市立病院からの報酬問題などを挙げ、「(学長在任の)14年間にわたり大学を私物化し、ガバナンス機能を完全に破綻(はたん)させた」などとして、学長の解任や辞任を求めている。約2千人の全教職員に署名を募り、学長と学長選考会議に提出する。発起人の1人は「学長からの報復人事も恐れたが、みんなで立ち上がることが防衛になると考えた」と話す。

 医大病院の患者家族からは、古川前院長の解任撤回を求める声も上がっている。旭川市在住の佐々木香苗さん(39)は、長男(4)が2年前、医大病院で生体肝移植手術を受けた。手術やその後の治療は古川氏が担当していたが、突然解任の知らせが入った。佐々木さんは「患者や家族に親身に対応しているのに解任されるのは納得できない」とし、肝臓移植を必要とする患者のため解任の撤回を求めるという。

 署名は「Change.org」で始め、今月15日時点で5600人が署名した。古川氏が担当した別の元患者からも「少しでも恩返しがしたい」と支援の声が届いたという。ウェブが苦手な人向けに、紙での署名もできる用紙も用意した。集まった署名は2月下旬にも大学や文科省へ届けたいという。(井上潜、本田大次郎)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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