孫を名乗る男、80代女性はピンときた だまされたふりして捜査協力

 愛知県豊橋市の80代女性の自宅に電話がかかってきた。女性は電話口で特殊詐欺だと見抜き、警察の「だまされたふり作戦」に協力。受け子とみられる男の逮捕につながった。26日に感謝状を受け取った女性は、日ごろからの家族との会話が大事だと話した。

 4月11日午前9時ごろ、女性宅に電話があった。孫を名乗った男は焦った様子だった。「喫茶店でカバンを盗まれて仕事に必要な金がなくなった。300万円ほど用意してほしい」

 女性は最初から「おかしい」と感じていたが、詐欺だと確信したフレーズがある。電話の男が口にした職業だ。孫の職種とは明らかに違った。

 男からの電話がいったん切れたタイミングで孫に電話をした。やはり別人によるうそと発覚。孫からの通報を受けた警察は、女性に捜査への協力を依頼した。

 「だまされたふり作戦」では、女性が現金の受け渡し場所として近所の公園を指定した。警察が用意した偽の紙袋を持って向かったところ、「孫の上司」の関係者だという男が現れた。

 警察は、詐欺未遂の疑いで男をその場で逮捕。埼玉県在住の23歳で、SNSで高額バイトの投稿を見つけて応募したという。

 女性は「テレビなどで特殊詐欺の被害について知っていた。日ごろから家族と話していたのですぐ孫に連絡できた」と振り返った。

 豊橋署の竹村賢二署長は「被害拡大を防止することができた」と感謝を述べた。

 県警は、特殊詐欺の被害を減らそうと、NTT西日本と協力した取り組みを今月から始めた。70歳以上または70歳以上の人と同居する契約者を対象に、相手の番号が手元の電話機に表示される「ナンバー・ディスプレイ」を無償で提供する。また、AIを使い、特殊詐欺の疑いがある場合に事前登録していた連絡先に通知するサービスも先着5千人まで受け付けている(一定期間は無料)。問い合わせはNTT西日本の特殊詐欺対策ダイヤル(0120・116・116)。(富岡崇)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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