宝塚の劇団員死亡問題 遺族側弁護士の記者会見での主なやり取り

 宝塚歌劇団兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が9月末に死亡した問題で、遺族の代理人弁護士が10日、東京都内で記者会見を開いた。会見での、記者との主なやりとりは以下の通り。

 ――労働時間はどのように調査したのか

 基本的なスケジュールに、物的に残っている物を加味した。

 基本的にはだいたい午前9時ごろから下級生の稽古があり、午後1~10時が上級生も含めた全体の稽古。午後10~12時が再び下級生の稽古になる。ずれることもあるが、これが稽古日の基本的なスケジュールになる。

 入退館記録が毎日あれば特定できるが、そうしたものはない。ただ(入館時の)体温測定の時間の記録が残っていたりはする。あとは母親への、いまどこにいて帰る途中、などの連絡の記録で、帰宅時間は特定した。そうしたものを総合して調査した。

 ――劇団側に出退勤記録の提出を求めたわけではないのか

 一般の会社では一人ひとりの労働時間を把握しているが、劇団は少なくとも(フリーランスとして出演の業務委託契約を結んでいる)入団7年目の彼女たちには行っていない。

 ――なぜこのタイミングで会見を行ったのか

 亡くなられたのが9月30日。その後10月7日に、劇団の理事長などが記者会見をした。そのとき、本件の原因についての劇団側の責任を認める言動は、遺族側からみて全くなかった。そうした状況のなかで弁護士に相談があった。詳しい調査が必要で、時間がかかったが、一区切りついた段階で会見をしたいと考えていた。

 ――今回の申し入れは、いつ劇団にしたか。その回答は

 書面としては昨日。劇団側の回答としては、(10月に設置を発表した)調査委員会による報告書が出たのちに、それらを踏まえて劇団で話し合い、遺族と話をしたいというのが、私ども代理人に伝えられている内容になる。

 ――求めているのは、賠償と謝罪ということか

 これまで事実関係をかなりの時間かけて調査してきた。残っているメールやLINEもたくさんある。そうした点から、事実関係について劇団に責任があるのは明確だと考えている。

 したがって、この問題について、きちんと劇団は現場任せでなく、企業の役員のトップが責任を持って謝罪し、必要な解決を行うと確信している。

 訴訟をどうするかという話はしていない。事実を認め、謝罪をしてもらう。それに尽きる。

 ――ハラスメントについては、どのように得た情報なのか

 2021年8月14日のヘアアイロンの件は本人のLINEが残されている。負傷したことについては、診療室で塗り薬をもらったことも確認できている。

 それ以降の経過についても、LINEなどがかなり残っている。ここに書いてある話は家族から聞いた話、もしくは残っている記録に基づいており、間違いないものを記している。

 ――パワハラを受けていたということは、生前からご遺族も聞いていたのか

 本人からそういう話を聞いているし、その問題に関係する情報も、家族なりに収集している。

 ――「遺族の訴え」のなかでは、もともと今年の夏に退団する予定だったとある。なぜか

 週刊誌報道以降、ヘアアイロン事件をめぐって本人は事実を伝えたつもりだったが、劇団側は事実無根と発表した。そういう中で追い詰められたということが、一つの原因になっていたと思う。

 ――今回の発表のなかで、8月の稽古が始まってから、午前0時半ごろに帰宅後も書面を作成するなどの業務があった、とある。書面とはどんなものか

 新人公演のシナリオは演出家が書くが、下級生が手伝うことがある。どの役を誰がやるかなども、演出家が基本的には決めるが、一緒に決めていく。彼女が残しているメモやLINEにも、「何役は誰々」などとある。(田部愛)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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