家事をすると申し訳なさそうな妻 無意識に潜む「呪い」

 11月19日の国際男性デーを前に、ジェンダー平等の立場から男性の役割について考えるイベントが7日、オンラインで開かれた。女性が野心をもって挑戦できる社会の実現をめざすグループ「Lean In Tokyo(リーン・イン・トウキョウ)」が主催し、2児の父でもある起業家の男性を中心に、共働き時代の夫婦のあり方について話し合った。

 メインスピーカーとして自身の体験を語ったのは上原達也さん(32)。大学卒業後、タクシー配車アプリの企画運営などに携わり、2019年7月に転職サービス会社を設立。高いスキルを持つ子育て世代向けの転職サービスなどを手がけている。

 2児の父である上原さんは、「ワーカホリック」だった生活が子どもの誕生を機に大きく変化したといい、妻と家事を分担するなかで自分のなかにある「無意識のジェンダーバイアス(性にもとづく差別や偏見)」があることに気がついたと語った。

 「自分が色んなことをやるようになってきたときに、妻が申し訳なさそうにしていることが多かった。本当は自分がやるべきなのに、できていないととらえているふしがあった。まるで呪いのように、女性としてこうしなければ、男性はもっと仕事をしなければ、というふうにとらわれていると感じる」

拡大するオンラインで自身の体験を話す転職サービス会社代表の上原達也さん

 キャリアとの両立については、調理家電や家事代行サービスを活用して仕事の時間を捻出したり、子どもがまだ寝ている早朝に働く生活リズムを採り入れたりするなど、上原さんが試行錯誤しながら実践しているライフスタイルも紹介した。一方で、読書の時間が取れない、飲み会に参加しにくくなったなどの悩みも明かした。

 議論のなかでは、子育てとキャリアを両立するためには、会社や同僚の理解や環境づくりが必要だとの指摘も。病気で保育園を休んだ子どもを夫が自宅で世話をする女性に、職場の同僚から「旦那さんの会社、理解があるね」と言われたという経験談が話題にのぼった。

 いまだに「子どもの世話は女性がするもの」という根強い意識があり、「イクメン」がもてはやされるのもそうした意識の表れだという趣旨の指摘もあった。役職に就く企業幹部が育休取得などのロールモデルとなることで、男女にかかわらず子育てしやすい雰囲気が生まれると、上原さんは話した。(鎌田悠)

朝日新聞社からのお知らせ

 11月19日は「国際男性デー」です。

 日本は男女格差が大きい国とされていますが、昨今、「競争社会で勝ち上がれ」「弱音を吐くな」といった「男性らしさ」を問い直す動きが広がっています。

 男性優位の社会構造や価値観に、男性としてどう向き合っているのか。朝日新聞社は19日午後5時半から、「『らしさ』の呪縛 ~国際男性デーにジェンダーを語る~」と題して、オンラインイベントを開催します。

 ゲストは、「男性性」をめぐって言語化の作業を重ねてきた、作家・白岩玄さんと文筆業で恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の清田隆之さん。仕事と子育ての両立をめぐる葛藤を記事にしてきた朝日新聞科学医療部の武田耕太デスク、スポーツにおけるジェンダーの課題などを取材してきた社会部の伊木緑記者も参加して、語り合います。

 参加無料。お申し込みは下記URLから(https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11002889)。

拡大するらしさの『呪縛』~国際男性デーにジェンダーを語る~


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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