山岳遭難救助隊、雪洞訓練に記者同行「やりがいと絶望と」隊員の思い

【動画】山岳救助隊、厳冬の雪山での雪洞訓練に同行=原知恵子撮影

 山を「死ぬ場所」にしたくない――。

 北海道警の山岳遭難救助隊員たちは日々、そんな使命感を抱いて任務にあたっている。厳冬期の2月、雪山での過酷な訓練を記者が同行取材した。

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 スノーシューをはいて救助隊員のザック(25キロ前後)を背負ってみようとしたら、重すぎて歩くことも立つこともできない。

 訓練開始からわずか10分。雪山遭難の現場に向かう隊員がどれほどの体力と技術を要求されているのか、それだけでも一端を垣間見た気がした。

 11人の隊員らはこの日、山スキーで十勝岳連峰・三段山(標高1748m)を目指す。もちろん、ふつうに登るのではなく、搬送訓練をしながらの移動だ。

 搬送中に遭難者を載せたストレッチャーが揺れたり、滑落したりしないよう気をつけながら、木などを支点にして滑車やロープをセットする。

 「ひーけ、ひーけっ」

 綱引きのように声をかけ合って引っ張り、到着したらまた、安全なルートを見極めて次の木へとリレー。目的地まで、ひたすらその繰り返しだ。

 雪をかき分けて進むだけでも消耗するのに、急な傾斜は25度ほどあった。「本番」では救助者の容体や天候の急変、日没などのプレッシャーの中で、慎重さ、迅速さ、連係力も問われる。

 極めつきは寒さだ。頂上に近づくと森林限界を超え、風が強くなった。搬送を終えたら、今度は自分が低体温症や凍傷にならないよう、自己管理しなければならない。「北海道の2千m級の山の気象は、本州の3千m級に匹敵するイメージで捉えた方がいい」と隊員は話す。

 夜は標高1300メートル付近で、4年ぶりの雪洞での野営訓練だ。

 テントに比べて防風性が高く気温も下がりにくい雪洞には、緊急時に滞在したり、遭難者を休ませたりする場合がある。雪山では作成技術は必須だ。ただ、コロナ禍は「三密」や感染拡大リスクの観点から、訓練ができなかったという。

雪洞には数々の工夫が

 作成は、重労働そのものだっ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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