島崎和歌子さん聖火リレー 土佐弁で「五輪盛り上げる」

 東京五輪聖火リレーが19日、高知県内で始まった。高知市の桂浜を出発した聖火は県西部に向かい、いの町、土佐市、四万十市など計9市町を巡った。沿道ではトーチを掲げて走る聖火ランナーを多くの人たちが待ち受けた。聖火は20日も土佐路を駆ける。(冨田悦央、清野貴幸、今林弘、笠原雅俊)

 桂浜では坂本龍馬像の前で午前7時半過ぎから出発式があった。市立浦戸小学校の児童6人が「東京オリンピックが世界中のコロナや災害で苦しむ人々の希望となるよう全力で応援します」と声を合わせた。

 夫婦で出発式を見守った宮川篤さん(68)は「心待ちにしていた。オリンピックはコロナに負けずにガツンと開催してほしい」と話していた。

 第1走者に選ばれたのは、南国市出身のタレント島崎和歌子さん(48)。「高知県からも東京オリンピックをこじゃんち(すごく)盛り上げたい」と土佐弁で意気込みを語り、トーチに聖火を受け取った。

 島崎さんは沿道の観覧者に手を振りながらスタート。朝日が差し込む松並木を通って、同じ南国市生まれの歌手三山ひろしさん(40)が待つ広場へ。桂浜を背景に、2人は笑顔でトーチからトーチに聖火をつないだ。走り終えた三山さんは「炎が移った瞬間、ときめきのようなものを感じた」と笑った。

 第5走者は高知市の近藤可連(かれん)さん(18)。市内の特別支援学校を今春卒業して働きだした近藤さんは、知的障害のある人たちのスポーツの全国大会「スペシャルオリンピックス日本」(2018年)の陸上800メートルで金メダルに輝いた。

 力強い走りに母亜矢さん(48)は「自閉症の息子が立派に走る姿を見て感動した。実は私も聖火ランナー。夜、宿毛市で走ります」と話し、親子一緒に高知市を後にした。

 近藤さんの聖火を受けた第6走者のプロランニングコーチ、金哲彦さん(57)が坂本龍馬記念館前まで走り、第1区間を締めくくった。

 第2区間は、いの町。仁淀川橋近くの仁淀川に浮かぶ舟に聖火ランナーが乗り込んで川面を一周した。

 第3区間の土佐市の国道56号(土佐市バイパス)では、中学生のころから卓球を続け、県卓球協会長と県スポーツ協会長も務める高知商工会議所会頭の青木章泰さん(78)が走った。一昨年、腰の手術を受けたため、リハビリ聖火リレーの練習を続けてきたという。

 「病を乗り越え東京五輪出場が内定した水泳の池江璃花子選手の復活に純粋に感動した。スポーツが夢と希望、感動を与えるものだと走りながら改めて感じた」

 1964年の東京五輪では、愛媛県から高知入りした聖火リレーは4日間かけて土佐路を巡り、徳島県へつながれた。57年前の聖火ランナーは切れ目のないルートを走ったが、今回は場所も時間もとぎれとぎれのルートが設定された。

 聖火は、清流四万十川に架かる長さ約290メートルの佐田沈下橋(高知県四万十市)も駆け抜けた。

 高知市自転車競技選手、矢野賢児さん(57)は、若葉の中を気持ちよさそうに走った。矢野さんは「大好きな佐田沈下橋という最高の舞台で走れて光栄です。四万十川の風が気持ちよかった」と話した。

 5年前に東京から佐田に移住した辻沢康友さん(79)は懸命にカメラのシャッターを切っていた。前回の東京五輪は夜間の仕事が忙しく、全く見られなかったという。「四万十川で聖火が走る光景を見られて本当に夢のよう。五輪の風を少し肌で感じて満足です」

 聖火は土佐清水市の後、第10区間の宿毛市へ。地元出身の井筒親方(37)=元関脇豊ノ島=が午後7時半すぎにゴール地点の「海風公園」(宿毛湾港新田緑地)に到着し、第1日の日程を終えた。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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