帰還困難区域とリンクした喪失感 「変わり者」が取り組む復興支援

 福島県双葉町は2月1日現在、103人の住民のうち、移住者は61人。震災前に住んでいた帰還者42人を上回る。町から委託を受け、まちづくりに関する事業を担う「ふたばプロジェクト」の移住定住担当の田口隼人さん(43)も、移住者の一人だ。

東京電力福島第一原発の事故で、周辺の多くの住民は避難を余儀なくされました。今も、故郷に帰れない人々も多い中、原発がある福島県大熊町と双葉町に移住した人々に、話を聞きました。

 初めて、住めなくなった町を見た衝撃を、今でも鮮明に覚えている。2021年、勤めていた製薬会社の営業で、水戸市から相馬地区の病院に車で向かったときのことだ。常磐道の常磐富岡ICから、福島県富岡町の帰還困難区域の近くを通った。周囲を見回し、はっとした。ぼうぼうに茂った草、民家の入り口に設けられたゲート。「映画の中に迷い込んだような気分でした」

 そのとき、一つの思いが頭をよぎった。22歳の時に、父親が自死した。その後、生まれ育った千葉県浦安市マンションが売却され「ふるさとを失った喪失感」を感じていた。原発事故で町を追われた人たちと、自分の状況がリンクした。「ここなら、本気で生きることができる」。そう思った。

 田口さんは大学を卒業後、製…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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