幻想的な「癒やし」フォトスポット 森に捧げられた亡き息子への思い

 一歩足を踏み入れると、みずみずしい新緑が目の前に広がる。佐賀県唐津市の作礼山(さくれいざん)(887メートル)の中腹にある「環境芸術の森」。10ヘクタールの斜面は、モミジやイチョウなど1万本の広葉樹で覆われている。川のせせらぎや鳥のさえずりには、自然と心が癒やされた。

 秋の紅葉シーズンが特に人気だが、青モミジと赤色のノムラモミジが隣り合う光景は、今の時季ならではだ。

【撮影ワンポイント】漆塗りのテーブルに新緑が映り込む「環境芸術の森」

午前9時の開門直後を狙い、7時半に自宅を出発した。ほかの客がいないうちに、窓の新緑を最大限に写し込むためだ。風遊山荘の2階に上がった。黒い漆塗りのテーブルに布があり、その布に16ミリの広角レンズをつけたカメラを置いて撮影した。秋には「逆さ紅葉」が拝めるそうだ。ぜひ足を運んでみたい。(藤脇正真)

 森を造ったのは、元造園業の鶴田正明さん(87)。1980年、原因不明の高熱で、高校球児だった次男の義明さんを亡くした。17歳だった。弔いのため、世話になった人たちへの恩返しの気持ちも込め、翌年から竹を払い、モミジを植え始めた。

 2010年に敷地内にある「風遊(ふうゆう)山荘」を一般に開放した。18年からは三男で、同じ造園業の健二さん(57)が手伝い始め、現在は療養中の正明さんに代わり、森全体の維持管理を担う。

 そんな森が、「映える」スポットとして近年注目を集めている。

 きっかけは7年ほど前のこと…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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