幼い息子を愛する優しいパパだったこと伝えたい 放火現場に一輪の花

 「息子さんのことを心配し、かわいがり、愛している優しいお父さんでした」。大阪市北区の放火殺人事件で犠牲になった24人の中に、幼い息子を残して亡くなった男性がいた。

 知人女性は事件から1日経った18日夜、現場近くに一輪の白いトルコキキョウを供えて頭を下げ、目を閉じて手を合わせた。

 女性によると男性は、2歳くらいの息子を保育園に預けていたという。

 「よく送り迎えをしていました。お母さんも仕事が忙しく、お父さん(男性)は在宅ワークすることが多かったようでした」

 息子は初めのうち園に慣れていないのか、男性に抱っこされながら「パパー!」と言ってよく泣いている姿を見かけたという。最近は泣かなくなった様子で、「そんな姿を、お父さんは、はにかんだような笑顔で見ていました。安心する一方で、少し寂しげにも見えました」。

 優しく、控えめな感じの男性の表情が、いまでも脳裏に浮かぶという。

 事件後も息子を見かける機会があったという。「まだ何も分からず、無邪気にニコニコしていました。笑顔の息子さんを見られたのは救いですが」。献花を終え、女性は沈痛な表情で語った。

 「優しいお父さんだったことを伝えたいと思って取材を受けました。これから息子さんのかわいい姿が、どんどん見られただろうに。どれほど無念だっただろうか。信じられない気持ちと無念な気持ちです」(加藤あず佐)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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