広がる森林の「皆伐」、保水力低下で災害の懸念 脱炭素政策も影響

記者解説 社会部・古城博隆

 土砂崩れが近年、全国で起きている。なかには林業の成長産業化や脱炭素社会の実現といった国の政策が影響したとみられる事例もある。木々をまとめて切る「皆伐(かいばつ)」を後押ししているためだ。

 2020年7月の熊本豪雨から2年余り経ったこの夏、球磨川流域を訪ねた。バリカンで刈り上げたような山肌にあちこちで出くわした。皆伐された森林の跡地だ。近くに住宅があるところもあった。

 森林と災害が専門の東大大学院の蔵治(くらじ)光一郎教授は、熊本豪雨後に現地で繰り返し調査。皆伐跡地における土砂崩れを多数確認したという。九州のほかにも北海道や東北などでここ数年、皆伐が広がっているとして懸念を強める。

 木が取り除かれた斜面は保水力が低下する。残された切り株は、当面は土壌を支える「杭」の役割をするが10~20年ほど経てば腐る。蔵治氏は「この先10年ほどが最も危険な時期になる」と語る。

 実際に木を切っているのは森…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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