広すぎる境内、知られざる絶景ポイントに来て 住職に愚痴の特典も

芳垣文子

 鎌倉五山の一つ建長寺(神奈川県鎌倉市山ノ内)を隅々まで回ってデジタルスタンプを集めると、鎌倉の地域通貨がもらえる企画が行われている。境内は東京ドーム2・3倍の広さがあるゆえ、境内を回りきれずに帰ってしまう人が多かった。地域通貨は鎌倉での様々な体験に使えるユニークな試みだ。

 建長寺は1253年、北条時頼が創建した臨済宗建長寺派の大本山で、国宝や国の重要文化財も数多い。敷地面積は約10万8千平方メートル。境内一番奥の半僧坊本殿やその上の展望台は、入り口から20分ほど歩くものの、相模湾や鎌倉のまちが見渡せる知られざる絶景ポイントだ。だが、訪れる人たちは入って数百メートルほどの仏殿や法堂で足を止めてしまうという悩みもあった。

 スタンプラリーは地元のIT企業「カヤック」が協力。同社開発のデジタル地域通貨「まちのコイン」を活用した取り組みだ。

 参加者はまずまちのコインのアプリをダウンロード。拝観料500円を払って入り、境内の①入り口の受付②三門③仏殿④唐門⑤約250段の階段⑥半僧坊本殿の6スポットを回り、各所に設けられたQRコードをスマートフォンで読み取る。1カ所ごとに100クルッポがもらえ、六つ回りきると1千クルッポ上乗せされる。また、読み取ることで各スポットの見どころや歴史が表示される。

 コインは鎌倉の観光体験に使うことができる。例えば、人力車夫から鎌倉イチオシ情報を教えてもらう(100クルッポ)▽江ノ電が見える和食どころの特等席に案内してもらえる(500クルッポ)▽安国論寺の住職が愚痴を聞いてくれる(300クルッポ)など。

 建長寺の紅葉が見頃を迎えるのは今月中旬~12月上旬ごろという。同寺広報担当の浅井正悟僧侶は「重要文化財の建物など文化的な素晴らしさに加え、奥の方まで足を延ばし、境内の豊かな自然を体験してほしい」と話す。(芳垣文子)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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