店の前ではねられたおやじ 時効を迎えた遺族「心に穴が空いたまま」

 死亡ひき逃げ事故の多くは、10年で公訴時効を迎える。容疑者逮捕の一報を待ち続けながら、「時効の壁」によってそれがかなわなかった遺族らがいる。

 今年5月30日午前0時。群馬県富岡市和食店「しば遼」を切り盛りする瀬下(せじも)大樹(だいき)さん(48)は、布団に入りながらずっと寝付けずにいた。米津玄師さんが歌う「Lemon」を聞いていた。

 夢ならばどれほどよかったでしょう

 こんな歌詞から始まるこの曲を聞くといつも、父の姿が目に浮かぶ。

 「これで本当に終わりなんだな」

 歌詞の通り、夢だったら、と何度考えたことだろうか。今でも、夜に雨が降ると思い出す。

 ちょうど10年前の5月30日。午後10時ごろだった。

いつもの、ドアが閉まる音だと思った

 「ドンッ」。家のすぐ目の前…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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