店名公表は本当に必要だったか コロナから3年、ラーメン店主の闘い

 3年前、徳島県新型コロナウイルスの感染者が立ち寄ったラーメン店の名前を公表したことをめぐり、店側が風評被害を受けたとして県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審の判決が、7月13日に高松高裁で言い渡される。一審は店側の敗訴だった。マスクをしている人も徐々に減る中、コロナ下での行政の対応を問い続けるのはなぜか、原告に聞いた。

 「私どものような田舎町の小さな飲食店にとって店名公表というのは残酷でしかありません」

 JR徳島駅から車で約20分、週末に行列ができる人気店として地元で知られる徳島ラーメン「王王(わんわん)軒本店」(藍住町)は、こんな文章をホームページに掲げる。訴訟の原告は、社長兼店長で、自ら厨房(ちゅうぼう)に立つ近藤純さん(51)だ。

 2020年7月、定休日の木曜の朝だった。保健所の職員からかかってきた電話で、県が店名を公表する可能性を告げられた。4日前に訪れた男性客の感染が分かったためと説明されたが、寝耳に水。「やめてほしい」と繰り返し求めた。

 だが、飯泉嘉門知事(当時)は、翌日の会見で「店の同意を得た」として名前を公表した。

 心配した通り、客足はぴたっ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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