度重なるワクチン供給延期で悩む大学 後期が迫るのに

 新型コロナウイルスの感染拡大抑止の「切り札」とされるワクチン。だが政府が掲げた職域接種は供給量不足で、開始早々につまずいた。これにより何度も延期を余儀なくされている大学も。若年層を中心に感染が急速に拡大する中、はたして9月後半の後期授業に間に合うのか――。

 「職域接種の開始が23日以降になる」。上智大学に5日、文部科学省からこんな連絡があった。大学は当初、7月中旬開始と学生らに伝えていたが、文科省からの連絡で「8月9日以降」「16日以降」と2度延期。今回で3度目となる。

 度重なる延期は要員確保の点で悩みのタネだ。職員の配置とシフトもそのたびに組み直し、外部の医療スタッフにも変更を依頼してきた。担当者は「委託先から『今度こそですね』と言ってもらったのに、またキャンセル。合わせる顔がない」。

 ワクチンが余って廃棄するのを避けるため、6、7月に学生に意向調査をしたが、延期されればされるほど「ズレ」も生じる。8月に入り、自治体や医療機関、アルバイト先などでの接種で済ませる学生も増えてきた。当初は関連の学校を含めた学生・教職員の約半分の7500人を対象としていたが、3500人に減らす予定だ。

 担当者は「23日に開始できれば、9月27日の秋学期の授業開始と少しかぶるものの、2回目の接種終了はぎりぎり間に合います」。一方で、「また延期になったら……」という不安も抱えている。

 延期はほかでも。7月下旬開始を予定していた明治大学でも延期が続く。8月3日にはホームページで文科省からの連絡について伝え、「23日の週以降になる」とし、6日には「30日の週以降になる」と掲載。学生たちに「(6月時点の)意向調査で接種を希望とした人も、居住地域の医療機関や接種会場などで接種して問題ない」と伝えた。

 延期によって、医師、看護師…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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