忘れ物届けに500キロ リッツ・カールトンの「おもてなし」とは

 米国の名門ホテルチェーン「ザ・リッツ・カールトン」がバブル崩壊後の日本に進出して四半世紀が過ぎた。専門家は、開業の地に選んだ大阪での成功と存続を支えているのは、徹底された「ホスピタリティー」とみる。

 リッツ大阪(大阪市北区)の宿泊担当副総支配人の佐藤郁子さん(46)はリッツのホスピタリティーを守ってきた一人だ。

 リッツ大阪が開業した1997年、新卒でオープニングスタッフとして入社。10年間、料飲や宿泊の部門を担当した後、国内外の系列ホテルで10件の新規開業に携わり、2022年4月から現在の役職でリッツ大阪に復帰した。

 高校生の時にみたホテルを舞台にしたドラマがきっかけでホテルマンになることを夢見るようになった。

 リッツの面接は建物が完成しておらず開業準備室で受けた。建物は簡素だったが、入り口には制服を着たドアマンが立ち、「入る前からわくわくさせてくれた」。学力試験はなく、面接でも経歴より人柄を重視していると感じた。

 「絶対に入りたい」。合否の入った封筒が郵送で届いた際は慌てて開けたため、中の合格通知も破ってしまったが、今でも思い出の品として大切に保管しているという。

 憧れのリッツ入社だったが、開業当初は日本では知る人ぞ知る状態だった。「タクシーでリッツ・カールトンまでと言っても着かないぐらい知られていなかった」と振り返る。

 佐藤さんは、そんなリッツの認知度を上げていったのはスタッフ全員に徹底されたホスピタリティーだとみる。リッツの理念「クレド」でも、最も大切な使命として「心のこもったおもてなしと快適さを提供すること」と書かれている。

「リッツ」を支えてきた「ホスピタリティー」の徹底。それぞれのスタッフたちのこだわりを紹介します。

 スタッフは誰でも、客のため…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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