息子が書いた「ありがとう」に涙…障害ある子、親が気づいた可能性(西日本新聞)

 強度行動障害など、重い障害のある人の暮らしが見えにくいからこそ、家族が孤立してきた現実がある。「親亡き後」も何とか地域で安心して生活できるように-。親や支援者が連携し、「発信」を始めている。  7月25日、福岡県筑前町のコスモスプラザで開かれた強度行動障害の勉強会。重い自閉症がある次男の陽大(はると)君(8)ら4人の子育てをしている地元の永川暁子さん(38)がマイクを握った。「とにかく、子どもたちの可能性を知ってほしくて」。笑顔に涙を交え、初めての講演に臨んだ。

褒められ表情緩む

 二つ上の小5の長男を除いて、陽大君と双子の長女、一つ下の次女も自閉症の診断を受けている。中でも陽大君は発語がなく、おむつは外れていない。感覚過敏もあってかんしゃくがひどく「寝ない、泣く、叫ぶ、飛ぶ…。毎日、誰か助けてという感じでした」。近所に気兼ねし、夜中に6~8時間ドライブしたことも。「正直、田んぼに投げ捨てようかとも考えた」  助けられたのは「しょっちゅう手伝いに来てくれた姉」の存在。彼女といると、子どもたちはなぜか落ち着いていた。姉はとにかく「わあ、すごいね、ようやったねえ」と褒めていた。

 暁子さんはある夕飯時、「きょうから、みんなの一日で良かったところを最低1個褒めます」と宣言。「起こされないで、自分で起きてえらいね、ぐらいだったけど…。みんな目を輝かせて」。表情に乏しい陽大君も、ニコッと笑った。

 しばらくして、今度は頑張ったことを文字に残す「いいねブック」も作成。姉が「ぐるぐる、書いてみようか」と陽大君に鉛筆を持たせたところ、突然、「あいうえお」を書き始めた。「姉もきゃーっと叫んで。私も信じられなかった」。重い知的障害がある、との判定も受けていたからだ。  姉に「お母さんに何か言いたいことを書いてみる?」と促され、陽大君がつづったのは「ありがとう」-。暁子さんは絶句し、涙が止まらなかった。「この子がどこまで分かっているか、自分が線を引いていた」と気づかされた。横で見ていた長男も号泣した。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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