患者風吹かせて生き抜こう がん患う緩和ケア医の心意気

それぞれの最終楽章・足し算命(5)

海南病院緩和ケア医 大橋洋平さん

 まず断っておきます。私は元々かなりわがままで、自己中心的な性格です。それを分かっていただいた上で、がん患者として声を大にして伝えたいことがあります。「患者はもっとわがままになっていい」。私はこれを「患者風」と名付け、「どんどん患者風を吹かせよう」と言い続けています。

 この言葉は、新聞記者のインタビューの中から生まれました。私が言い出したのか、記者さんが名付けたのか、記憶は定かではありませんが、家族への、私のわがままな言動を説明しているときに、「先輩風を吹かせて」からの連想で「患者風」という言葉が出てきたように思います。

 がんになると、さまざまなことが出来なくなったり、難しくなったりして、家族に頼むことが増えてきます。「迷惑をかけているよな」と思い、いちいち「してもらって悪いね」と口にする。なるべく迷惑をかけずに、言いたいことも言わず、したいこともせずにおとなしく暮らしていく。これが多くのがん患者の姿でしょう。

 世の中では、がんになり、終末…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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