愛されつつ消えたゲーム 夕暮れのとしまえんで見た景色

 行列のメリーゴーラウンドを横目に過ぎる。8月末。4日後に閉園する「としまえん」で、小柴友里江さん(41)が夫を連れて、真っ先に向かったのはゲームセンターだった。

 四半世紀前の記憶をたどった。広さは半分くらいになっていた。見覚えのないゲームばかり。でも、あのレトロな明かりに照らされた一画は残っていた。「変わってないな」

 ボウリング球を、狙った地点へ転がす「BOWLER(ボーラー) ROLLER(ローラー)」。高校時代にここでアルバイトをしていた頃は、人気ゲームのひとつだった。でも、いま、客はいない。

 200円を払って挑戦した。あいかわらず難しい。転がすのは重たいボウリング球だけど、レーンは2メートルほど。途中にふたつ盛り上がった部分があって、狙った地点に届かなかったり行きすぎたり。もう1回。うまくいかない。

 当時の記憶は、学校生活よりも鮮明に残っている。景品のカッパ人形がどうしても欲しかったこと。バイトが休みの日にわざわざ行って、「社員さん」に助言をもらって成功させたこと。大人になったいま思い返すと、ちょっと笑ってしまうようなことだけど、あのころは夢中だった。

 3投目。また外した。

9回目の失敗、そして

 あきらめて園内をめぐる。昔といま。変わっていないものを見つけては、夫にも教えた。女性スタッフのキュロット姿、屋外に置かれた輪投げの場所……。

 空がオレンジ色に染まったころ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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