愛とロマンの「10円プール」ピンチ 69年続く子ども料金の背景は

 「10円プール」の愛称で市民に親しまれてきた東京都武蔵野市立武蔵野プール(屋外)の廃止が検討されている。軍需工場の厚生施設だった時代から約80年たち、老朽化が進んでいるためだ。戦後に市民プールとして生まれ変わり、10円玉一つで楽しめる真夏の子どもの遊び場であり続けてきた。その歴史は岐路を迎えている。

 7月1日、プール開きを迎えた武蔵野プール。猛暑の昼過ぎ、屋外の50メートルプールでは20人ほどが泳いだり、日光浴をしたりしていた。60代男性は子どものころも、よく遊んだという。「安かったなあ」。地方への転勤を経て市内に戻り、再び来るように。「屋外はやっぱり気持ちがいい」

米軍機の空撮に写る50メートルプール

 吉祥寺北町5丁目にある武蔵野プールの一帯は、戦闘機のエンジンなどを製造した中島飛行機武蔵製作所の跡地だ。50メートルプールは、同社の厚生施設として戦前からあった。1944(昭和19)年11月、米軍機が空襲前の偵察飛行で撮った写真にも、縦長のそれが写っている。

 戦後、荒廃した武蔵野を文化的に復興させるため、総合グラウンドとともに市に貸与され、後に市が取得した。53年に条例で使用料が定められて以来、子供(小・中学生)の使用料は10円で据え置かれている。一方、大人は1日20円から段階的に引き上げられ、85年から2時間200円だ。

残す道も模索したが……結論は廃止・解体案

 屋外プールの存廃が検討され…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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