手術痕、意味知らぬ義妹のため 強制不妊訴訟へ託す願い

 障害者らへの強制不妊手術を認めた旧優生保護法の違憲性が問われた訴訟で、全国初の判決が28日、仙台地裁で言い渡される。原告の一人になった宮城県の60代の女性は、知的障害があり手術のことを理解できない。代わりに闘ってきた義姉は、差別のない社会への願いを司法に託す。

 自宅のソファに腰かけた女性が器用に編み棒を操ると、カラフルなひざ掛けができあがっていく。「止めないと永遠に編み続けてるの」。隣で義姉が笑う。

 「どうして裁判を闘ってるのかわかる?」

 そう義姉が聞くと、女性は照れ臭そうに下を向き、編み物を続けた。

 女性は幼い頃に受けた麻酔治療の後遺症で、重い知的障害が残る。女性の兄と結婚した義姉はほどなく、女性のおなかにある20センチ近い傷に気付いた。母親は「不妊手術をした」と言い、うつむいた。女性は中学3年のとき、県内の病院で手術を受けた記録が残る。ただ、手術に至った経緯ははっきりしない。

 母親は女性が自立できるよう、…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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