捜索にも貢献してきたのに倒産 それでも潜る社長が抱く空しさと思い

 「絶頂からどん底へ。こうなると世間は冷たいもんだ」

 社屋を引き払って移った町外れのプレハブ小屋。吉田浩文(55)は、空しい胸の内を隠さなかった。

 今年9月30日、宮城県名取市の建設会社・潜匠建設が、仙台地裁に破産を申請した。負債額は約10億円。

 社長の吉田が2008年に一人で始めた会社だ。

 業績は東日本大震災後に急拡大した。18年9月期には売上高12億4千万円を計上。被災した沿岸部の公共土木工事が中心で、3次下請けから始まり、2次、1次、そして元請けに入るだけの実績を積んだ。

 それが復興需要の収束で受注が急減。今年5月末、約30人いた従業員の大半を解雇し、再建の道を探ったが、力尽きた。

 4階建て社屋は海近くの住宅街にある。3億7千万円をかけて16年に完成した自慢のビルだ。

 屋上まで外階段をつけ、自家発電装置や食料備蓄倉庫を設けた。次に津波が来たときには、最大300人の近隣住民が逃げ込める。市の指定避難場所にもなった。

 社長室には感謝状が飾られていた。海上保安本部、警察、消防……。

「ぜひここを見て」 大津波でも奔走した不明者捜索

 吉田は、潜水士という異色の肩書も持つ。

 引き揚げた遺体の数367…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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