揺れる救命ボート、濡れた体に風 寒さに震えた1時間

 鹿児島県十島村悪石島沖を航行中のフェリーとしま2(1953トン)で29日に発生した火災で、当時の乗客の一人が朝日新聞の取材に応じた。ひどい揺れと寒さを感じる洋上で「この先どうなるかわからず不安だった」と避難時の心境を語った。

 松江市の会社員、福島正起さん(46)は旅行で宝島を訪れ、29日午前5時過ぎに、宝島からフェリーに乗った。

 火災発生を知らせる船内放送があったのは、小宝島を経て悪石島に向かう途中だった。ベッドから跳び起きて、ロビーに向かうと、煙のにおいを感じた。

 「大事にはならないだろう」と思っていたが、乗務員から「これから避難していただきます」と告げられた。慌てて部屋に戻り、携帯と財布だけつかんで部屋を出た。

 その後、寒さに気付いて上着をとりに戻ろうとしたが、「戻れません」と制され、半袖にパーカ、ズボン姿で救命ボートへ。オレンジ色のビニールプールのような小さめのものに移った後、さらに少し大きめの2隻の黒いゴムボートに移った。乗客、乗務員十数人ずつが分乗したという。

嘔吐する乗客、募る不安、乗務員の声に励まされた

 洋上では船が激しく揺れ、ボ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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