故郷で家族と暮らしたい 葛藤の3年間 西日本豪雨

小林一茂

 西日本を中心に、甚大な被害を出した豪雨災害から6日で3年。住民51人の命が奪われた岡山県倉敷市真備町で、農業を続ける男性がいる。自宅を失い、家族とも離ればなれの生活を余儀なくされた男性の3年間とは――。

 須増国生さん(60)。昼間は会社員として働きながら、週末を中心に農業をしている。「真備には戻らない」。被災直後、水害の再発を恐れた妻と子どもたちはそう告げて、昨春、市中心部に移った。人生初の一人暮らしを始めた須増さん。当たり前の存在だった家族の大切さに気づいた。

 一方、生まれ育った集落は、にぎわいを失った。豪雨後、自宅の再建を断念し、離れていく住民も現れた。活気を失っていく故郷を自分の代で捨てることはできないが、再び家族とも暮らしたい。葛藤に苦しむ須増さんは近所の仲間たちと協力し、自宅があった周辺をかさ上げする計画を立ち上げた。故郷で家族と暮らせる日々が戻ることを信じて。(小林一茂)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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