数学は将来役に立たない? 教科書の意外な工夫とは

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石平道典、西村悠輔、三島あずさ 阿部朋美、堀之内健史

 「こんなことを勉強して、将来何の役に立つんだろう」。高校生のそんな声にこたえるべく、来春から高校で使われ始める教科書では、学びとキャリアのつながりを「見える化」しようと各社が工夫をこらしている。数学と直結しなさそうな弁護士を、あえて数学の教科書に登場させた出版社も。新学習指導要領で、キャリア教育がより重視されることを受けた動きだ。

 ノーベル賞受賞者、研究者や技術者、専門職……。理科では、第一線で活躍する人たちを紹介する欄が随所にあり、高校で学ぶ知識が仕事にどう役立つかを伝えている。ある社の担当者は「学習内容と社会とのつながりに気づいてもらうため、さまざまな職種の人のインタビューを載せた」と話す。

 「自分の専門知識に裏付けられた技術と、世の中が何を必要としているかというニーズに対して自信があった」。実教出版は化学基礎で、吉野彰さんがこう語るインタビューを5ページにわたって掲載した。

 リチウムイオン電池の開発で2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野さんは、「化学でも物理でも音楽でもスポーツでも何でもいいので、これは絶対に負けないというものをもつこと」の大切さを訴える。同社の担当者は「業績とは別に、吉野さんが子どものときに何を学んだか、なども紹介した。生徒の学習意欲につながれば」と語る。

 地学基礎では、地質コンサル…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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