新幹線効果、石川との差が開く富山 知事は延伸に危機感

 ベニズワイガニにウマヅラハギ、ニギスにイシモチ――。2月上旬、富山湾産の魚介が東京駅地下の「グランルーフ」にある飲食店に届いた。いずれも、その日の朝に新湊漁港(富山県射水市)で水揚げされたばかり。港から富山駅へトラックで、富山駅から北陸新幹線で東京駅へ運ばれた。

 新幹線で富山―東京間は最速2時間8分。富山の魚介を短時間で運び、新鮮なまま味わってもらうことで富山への誘客につなげようと、富山県とJRグループなどが試験的に行った。

拡大する富山で水揚げされた新鮮な魚介が北陸新幹線で東京駅の飲食店に届いた=2020年2月4日、東京駅地下の「グランルーフ」、財津能仁撮影

 グランルーフ内のシーフードバルのシェフ岩間隆さんは「富山湾の魚は締まった味がする。お客さんにも好評」と笑顔。県観光振興室の寺井聡志さんは「新鮮な魚介類で富山をPRしたい」と力を込めた。成果を検証し、再び行うかどうかを決めるという。

 「新幹線開業で富山の認知度は確実に向上した」と県総合交通政策室の担当者は自信をのぞかせる。ただ、隣の石川県との差は大きい。観光庁の宿泊旅行統計調査で新幹線開業前の14年と18年の富山、石川両県の延べ宿泊者数を比べると、両県とも数は増えたが、伸び率は富山県の8%増(349万人→378万人)に対し、石川県は21%増(754万人→913万人)。延べ宿泊者数のうち訪日外国人客は、富山県は14万人から31万人に、石川県は35万人から97万人と伸びに開きがある。

 また、富山、石川両県が推計した18年の観光消費額は、富山県1494億円、石川県3227億円で、石川県が圧倒している。

拡大する富山県と石川県の延べ宿泊者数と観光消費額の推移

知事「通過駅になる」

 23年春には福井県敦賀市まで新幹線は延びる。延伸は、富山にどのような効果をもたらすのか。

 2月13日、敦賀延伸に向けた…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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