日米の事故炉を見た原発検査官の流儀 トラブルの根を洗い出すには…

 世界最悪級の原発事故から11年7カ月。東京電力福島第一原発では今も、ガレキの撤去や核燃料の取り出し、放射性廃棄物の管理といった数多くの作業が同時並行で進む。その最前線に、米国の事故炉を経験し、現場の声に耳を傾けながら安全な廃炉を進めようとする検査官がいる。

 「あれっ」。小林隆輔さん(67)は2013年夏、インターネットで、ある募集案内を見つけた。前年に発足した原子力規制庁の職員採用試験だった。

 大学院で核融合の研究をした後、原子力事業などに関わるエンジニアリング会社に就職。30代のころ、福島と同じく核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」を起こした米スリーマイル島原発で2年間勤務した。

 溶けた核燃料が配管のどこにどれだけあるかを調べ、放射性廃棄物の管理にも携わった。原発の事業者だけでなく、ほかの民間企業が強みを生かしながら一緒に廃炉作業を進める姿が印象に残った。

 福島第一原発で事故が起き、事故炉で働いた自分こそ貢献しなければと思った。だが、勤務先では国の研究機関から助言を求められることはあっても、廃炉作業に直接関わらない。

 しかも、当時57歳。職員採用試験のページを見つけたのは、そんなころだった。

 悩んだ末の応募。「スリーマ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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