映像作家の太田光海さん、青高で育んだ原点 「世界回って気づいた」

狩野浩平

 文化人類学者で映像作家の太田光海(あきみ)さん(33)は東京都立青山高校の卒業生だ。南米・アマゾンの熱帯雨林で撮影した映画が、国際映画祭などで高く評価された。国際色あふれる活動の原点は、東京のど真ん中で過ごした高校時代にあるという。

 高校時代は自己主張の強い方で、基本的に「いじられキャラ」だったという太田さん。入学直後の授業で先生から質問が投げかけられた時、周りを気にして誰も発言しない中、勢いよく手をあげて「モノカルチャー経済です!」。その後、「モノカルチャー太田」というあだ名が付いた。

 思い出深いと振り返るのは文化祭の「外苑祭」。同級生が作ったある映像作品が、映像作家になるきっかけになったという。

 人が入れる箱を置き、同級生が1人ずつ箱の中に入っていく様子を撮る――。その同級生は、人が入るシーンだけをつなげて、あたかも箱の中に無限に人が入っていくかのように編集した。「映像ってこんな表現ができるんだ」。そう衝撃を受けたという。

 進学校で知られる青山高校。ただ太田さんは「文化的感性の鋭い人が多い」と話す。周囲の原宿、表参道、渋谷にはおしゃれなカフェやギャラリーが多く、「通学するだけでも若者のカルチャーに触れられる」。太田さんは軽音楽部で、よく友達とCDショップに行き、その選曲に「高校生なのにすごいディープな音楽を聴いていて、刺激を受けた」と振り返る。

 現在は海外を舞台に活躍する。「世界を回って気づいたのは、青高の周りには世界都市・東京を象徴する施設が集中しているということ。国立競技場、明治公園、神宮球場。外苑の風を受けながら学んだことが基礎になり、熟成されて意味を持っているのだと、大人になった今ひしひしと感じています」(狩野浩平)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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