暗闇に指で書いた英語 89歳、衰え知らずの学ぶ意欲

 まだ暗い朝の台所で、届いたばかりの新聞の英訳を続ける89歳の女性が、岐阜県各務原市にいる。毎朝のルーチンは今春、25年目に突入。学ぶ意欲の原点は、幼い頃に父から聞いた「見知らぬ言葉」への好奇心だ。

 久代京(くしろきょう)さん(89)が台所のテーブルに電気スタンドをセットすると、そこは「書斎」に早変わりする。テーブルからコンロと洗濯機まで半径1メートルほどの動線は、「勉強の時間を少しでも長く取れるように」と考えたこだわりの設計だ。

 夫、娘と3人暮らし。毎朝、朝食・弁当の用意や洗濯をこなし、落ち着いたら新聞を広げる。鍋や洗濯機の様子を気にかけつつ、さあ英訳だ。

 対象は朝日新聞生活面の投稿欄「ひととき」。日々のくらしの中で感じたことを、500字でつづるスタイルで、全国から投稿が寄せられる。「訳し出すと楽しくて没頭してしまう。好きなドラマを連続で見ているような感じでしょうか」

 1997年4月からこのルーチンをほぼ休みなく続け、今春、8200編を超えた。今年1月、久代さんが「1万日を達成したい」とつづった投稿が同欄に掲載されると、全国から驚嘆とエールが相次いだ。

戦争中は学校で英語習えず

 英検1級や通訳技能検定2級を持つ久代さんが英語と出合ったのは少女時代だ。

 父親が若い頃に東京で書生をし…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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