有害物質シアンを東京湾に流出させた疑い 海保が日本製鉄を家宅捜索

宮坂奈津 藤谷和広

 日本製鉄東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)が有害物質シアンなどを東京湾に流出させた疑いがあるとして、千葉海上保安部は26日までに、同製鉄所君津地区や東京都千代田区の本社を水質汚濁防止法違反(排出水の排出の制限)の疑いで家宅捜索した。

 千葉海保によると24~26日、捜索先から関連書類などを押収し、関係者に任意で事情を聴いたという。シアンは同法に基づく環境基準で、1リットルあたり0・1ミリグラム未満の「不検出」が義務づけられている。

 日鉄本社の広報センターは「強制捜査を受けたことについて非常に重く受け止め全面的に協力する」とコメントした。

 一方、県は26日、同社が県に提出した報告書の妥当性を検討する第1回有識者会議(座長=川本克也・岡山大名誉教授)を千葉市内で開いた。議事は非公開。委員は排水処理や化学物質、生態への影響に詳しい研究者4人と、企業コンプライアンスや組織マネジメントに詳しい弁護士2人の計6人で構成する。県は、会議で寄せられた意見をもとに同社への対応を検討する。

 同製鉄所ではシアンを検出しながら県に報告していなかった事例も明らかになっており、吉野美砂子・県環境生活部長は会議の冒頭、「一連の事案はコンプライアンス意識の長期にわたる欠如が招いた結果。厳正に検証を行う必要があると判断した」と述べた。(宮坂奈津 藤谷和広)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment