朝7時、いまもつく娘のテレビ 片付けなんてできない

 もう一度会いたい――。36人の命を突然奪った京都アニメーションの放火殺人事件は、18日で発生から1年。家族や友人らは犠牲者を思い、今も深い悲しみのなかにいる。

この時間に、起きてきてくれたらええのに

 「去年は忙しいしてて今は少し落ち着いたけども、あの子のことを思わない日はないですわ」。京都アニメーションの放火殺人事件で、長女の石田奈央美さん(当時49)を亡くして1年。京都市伏見区で娘と同居していた母親(79)の思いは募る一方だ。

 奈央美さんは京アニでアニメの色を決める「色彩設計」を担当していた。「涼宮(すずみや)ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」や「氷菓(ひょうか)」などの人気作を手がけ、事件後の昨年9月に公開された「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝―永遠と自動手記人形―」にも携わっていた。

 1年前のいつもの朝、天気予報は雨だった。家を出る奈央美さんに「長い傘持っていきや」と母親は声をかけた。「ふーん」と返した奈央美さん。それが最後のやりとりだった。事件の日、安否がわからず、一睡もできなかった。

 事件後、奈央美さんの部屋を徐々に片付け、仏壇を置いた。大量にあったDVDや本は処分した。だが今は中断している。片付けをすると奈央美さんの思い出の品々が見つかり、手が止まってしまったからだ。

 小学生のころにつくったネコや…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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