東電元副社長2年半ぶり法廷で語る 津波対策「合理的」

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主が旧経営陣5人に22兆円の支払いを求めた訴訟で、被告の一人の武藤栄・元副社長の尋問が27日、東京地裁であった。事故前に東電子会社が計算していた15・7メートルの津波予測について「信頼性がないと理解した」と述べ、当時の判断の妥当性を改めて強調した。

 武藤氏は原子力・立地本部の副本部長だった2008年、15・7メートルの報告を直接受けた。この日の法廷で武藤氏は、計算のもとになった国の専門機関の地震予測「長期評価」について「担当者が信頼性がないと答えた」と説明。ただちに対策を取らず、土木学会に検討を委ねた判断についても「社内の専門家が分からないと言っている以上、社外の専門家に聞く必要があった」と述べた。

 11年に事故が起きた後の心境を問われると「振り返って自問自答を繰り返す場面はあったが、あれ以外のやり方は取りにくかった。合理的な判断だったと今でも思っている」と答えた。

 武藤氏が公の場で語るのは、業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判(一審無罪)で被告人質問を受けた18年10月以来。7月には、清水正孝・元社長ら他の4被告の尋問も予定されている。(編集委員・佐々木英輔

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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