検察官の定年延長「黒川氏のためでない」 当時の法務次官が陳述書で

山本逸生

 東京高検検事長だった黒川弘務氏=辞職=の定年を延長した2020年の閣議決定を巡り、大学教授が国に関連文書の開示を求めた訴訟で、12月に証人として出廷する当時の法務事務次官、辻裕教・前仙台高検検事長が大阪地裁陳述書を提出し、閣議決定は「黒川氏の勤務延長が目的とは認識していない」と説明した。

 提出は8月31日付で、地裁で15日にあった弁論で明らかにされた。閣議決定は、黒川氏の定年を目前に控えた20年1月に行われ、検察官に適用しないとされてきた国家公務員法の解釈を変更して採り入れられた。

 辻氏は陳述書で、法務省刑事局から解釈を変更するとの報告を受け、自身も「可能と思った」と説明。定年退職で業務の継続性に支障が出るケースもあり「一定期間の延長はありうると考えられた」と述べた。

 一方、尋問での証言内容については「(閣議決定の案に)印鑑を押すまでの間に、誰とどのようなやり取りをしたかは職務上の秘密に当たり、お話しできない」とした。

 訴訟の原告は神戸学院大の上脇博之教授。20~21年に関連文書の開示を求めたが、法務省はほとんどを「未作成」などの理由で不開示とした。辻氏は、文書の作成状況について「閣議案以外に法務省で作成されたことはない」と述べた。(山本逸生)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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